Linux ディストリビューション比較

Linux のディストリビューションについて。

Linux には数十種ものディストリビューションがあります。Linux 自体は Kernel 単体で配布されており,使いやすいように Kernel に様々なパッケージソフトウェアを組み込んで配布されているものをディストリビューションといいます。

ディストリビューションには大きく分けて Debian 系と Red Hat 系があり,大きな違いはパッケージ管理システムの違いで,Debian 系は deb 形式,Red Hat 系は rpm を用いてる。これは個人的なイメージになりますが,Debian 系は個人や大学等で使用されることが多く,Red Hat 系は企業で使用されることが多いように感じます。

ここでは,主なディストリビューションの特徴について簡単に説明したいと思います。

◆Debian

•Ubuntu

人気のディストリビューション。近年, Linux の標準にもなりつつある。平均的な PC 利用者が使いやすく,最新の機能を搭載した Linux を掲げ,使いやすさに重点をおいている。多くの派生ディストリビューションが存在する。標準なインストールでインターネットブラウザ,メールクライアント,ゲーム,Office 環境を含み,面倒な手順を踏まなくても,すぐに利用できるようになっている。Ubuntu 11.04 から GNOME パネルに変わるデスクトップ環境として,Ubuntu 向けに開発された Unity を採用している。Unity は画面左に Dock を配置し,画面左上にはスタートボタンがあり,そこからすべてのアプリケーションを呼び出せるなど,Windows と Mac OS X のいいとこどりをしている。また,Wubi と呼ばれる Windows 向けアプリケーションが存在し,パーティションやブートローダの設定を意識することなく,手軽に Windows とのデュアルブート環境が構築できるようになっている。デスクトップ環境を排除したサーバ向けの Ubuntu Server というディストリビューションも存在する。Linux 初心者向け。バージョン更新は 6 ヶ月ごとで,4月と10月に行われる。また,通常のバージョンとは別に LTS (Long Term Support) という長期サポート版も用意され,こちらは2年に一度更新される。執筆時の最新版は Ubuntu 13.04 で,LTS 版の最新版は Ubuntu 12.04 LTS。フリー。

公式ホームページ : http://www.ubuntu.com/

日本版 : http://www.ubuntulinux.jp/

•Debian

Debian 系 Linux のベースとなる OS。1993年に完全にフリーでオープンソースな Linux を掲げ,開発された。歴史が長く,Debian 系 Linux の基板となるため,動作が安定している。開発に関するコミュニティーが活発で,開発者向けといっていい。ここ数年のバージョン更新は2年ごとに行われている。執筆時の最新版は Debian 7.0 。フリー。

公式ホームページ : http://www.debian.org/

日本版 : http://www.debian.or.jp/

•KNOPPIX

CD や DVD から起動することが可能な Linux として開発された。Live CD/DVD 環境に最適化されており,データの保存が必要な際は,RAM上に行うようにされている。現在,多くのディストリビューションが Live CD/DVD 機能を有しており,その優位性はなくなりつつある。OS が起動できなくなった際の復旧,データ救出ツールとしてよく利用されている。執筆時の最新版は KNOPPIX 7.05 。フリー。

公式ホームページ : http://www.knoppix.org/

日本版 : http://www.risec.aist.go.jp/project/knoppix/

• Red Hat

•Red Hat Enterprise Linux (RHEL)

Red Hat 株式会社が開発した,業務向けの Linux。ライセンス料金は無料だが,関連するサービス(バイナリパッケージやアップデート,サポート)などが有料である。有料であるため,サポートに関しては Linux の中で最も信頼性が高く,主に企業で用いられている。オープンソースであるため,それを元としたディストリビューションが多く存在する。個人で扱う人はほとんどいないと思われる。ニーズに合わせて多くのバージョンが存在している。バージョン更新は2年毎。執筆時の最新版は Red Hat Enterprise Linux 6.4 。

•Cent OS

Red Hat Enterprise Linux との完全互換を目指して開発された,フリーの Linux 。 Red Hat が後悔するソースコードを元に,Red Hat のサービスを含まない形で構築されている。Red Hat のサービスを必要としない人向けであり,RHEL と同じく,主にサーバ用に作られている。個人のサーバ用途の OS として人気がある。追加のパッケージをインストールすることでデスクトップ環境も使用できる。サーバ用途を目的にしているため,標準インストールの段階では必要最低限のソフトウェアしかインストールされておらず,利用者自身で必要なサービスのインストールおよびカスタマイズをする必要がある。必要最低限のため,セキュリティがしっかりしている。Linux 中級~上級者向け。バージョンはメジャーバージョンとマイナーバージョンが存在し,それぞれベースとなる RHEL に対応している。執筆時の最新版は Cent OS 6.4,Cent OS 5.9 。フリー。

公式ホームページ : http://www.centos.org/

•Fedora

Red Hat が提供していた Red Hat Linux の後継 OS であり,Red hat が支援するコミュニティーで開発されている,フリーの Linux である。サーバ向けの RHEL とは違い,Ubuntu と同じく,デスクトップ環境が充実しており, 最新の機能が搭載されている。フリーソフトウェアであることを重視している。バージョン6までは Fedora Core という名前だった。標準のデスクトップ環境は GNOME 。Red Hat 系の Linux の中で,日常的に使用する際の標準の OS であるといえる。最新の機能を試す,Red Hat 社の実験的な OS であるともいえる。Linux 初心者向け。更新はだいたい半年ごと。執筆時の最新版は Fedora 18 。フリー。

公式ホームページ : http://fedoraproject.org/

•Vine Linux

完全な日本国産の Linux ディストリビューション。日本語環境が最適化されている。現在は多くの Linux ディストリビューションが日本語に対応しているが,まだ,日本語環境がないディストリビューションが多かった1990年代に完全な日本語環境サポートを目指して開発された。少人数で開発が行われているため,サポートやバージョン更新が遅い。多くのディストリビューションが日本語対応した現在では,優位性がなくなってきている。執筆時の最新版は Vine Linux 6.0 。フリー。日本人向け。

公式ホームページ : http://vinelinux.org/

個人的な意見ですが,現在,日常的な使用用途では Ubuntu か Fedora ,サーバ用途では,Ubuntu か Cent OS を用いた方が,情報が多いため使いやすいでしょう。上記以外にも Linux には多くのディストリビューションが存在し,フリーのものが多いため,ニーズに併せて自由に選ぶことができます。この記事は適宜更新していきたいと思います。

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